開業医に必要な生命保険 いらない生命保険

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ここでは開業医の先生が損をしない為の生命保険、損害保険の考え方を書きます。 (※あくまでも数多くの開業医と接してきたファイナンシャルプランナーである【文京区の専門家】管理人はそう考える、という事で特定の商品を否定するものではありません)

開業医こそ掛け捨て保険を!

個人開業医の最大のコストは税金です。

60歳以降まで積み立てる予定の資金なら積立保険に入るより、高額所得者ほど先ず優先すべきは所得控除できる小規模企業共済や個人型確定拠出年金iDeCoだと考えます。

外貨建て終身保険や変額保険は、先生が高い税金を払った後の残ったお金を運用するという事を書きました。

従業員が多く、小規模企業共済に入れない先生でも、個人開業医ならばイデコだけでも、奥様と合わせ、毎月136,000円の運用が可能です。 ぜひ奥様の月収を68,000円増やしてあげて、先生の課税所得を減らしてください。


ところで、「自己資金だけでは対処出来ないリスク」に備えるのが本来の保険の役割です。

自動車保険を例にとると、人身事故を起こした際の対人賠償金は、場合によっては億単位になるケースもあります。対人賠償保険の金額は多くの場合無制限にしますよね。 これが本来必要な保険です。

逆に、同じ自動車保険でも「車両保険」ってそんなに必要でしょうか?

車両保険とは、先生の車の修理代金を補償する保険です。滅多にないですが、仮に全損の事故でも、契約した車両価格(時価)までの保険です。

実はこの車両保険の掛け金が、保障額のわりに高いのです。

同じように、生命保険の分野で高い掛け金の割に保障額が低いのが「終身保険」や入院保険と言えます

所得の高い開業医の場合、自己資金で賄える部分まで保険で準備する必要性は少ないと考えます。 (※相続、贈与などを視野に入れた終身保険は、また別の観点からは大変有効な保険でもありますが、終身保険の活用法は別途記載します)

開業医におすすめの生命保険 その① グループ保険(団体定期保険)

医師の各種団体、都道府県の医師会、医師協同組合などの福利厚生制度として、多く採用されています。ドクターなら、活用しない手はありません。

グループ保険(団体定期保険)の特徴

1年更新

掛け捨て

安い掛金

1年ごとの剰余金が配当金として還元されるものも多い

告知のみで入れる(生命保険加入の診査が不要)

等です。複数の団体で加入すれば、1億円以上の保険に入ることも可能です。

先生の地域のグループ保険(団体定期保険)はどこで入れるか、ファイナンシャルプランナーの常盤までお問合せ下さい。

開業医におすすめの生命保険 その② 定期保険(掛け捨て保険)

定期保険というと、定期預金をイメージして、積み立て保険と誤解されがちですが、掛け捨て保険です。

10年間や、60歳まで等、一定期間を保障する生命保険です。必要な期間に必要なだけ・・・まさに保険の本来の形です。

掛け捨てなので、もともと掛け金は比較的安いのですが、非喫煙者や、健康診断の結果が一定の基準に収まる方は健康体割引があるなど、健康に自信のある先生にとっては安く大きな保険に入れるメリットがあります。

開業医と定期保険
更新時毎月の保険料は高くなる

定期保険は上記のグループ保険(団体定期保険)よりは一般的に掛け金が高くなりますが、グループ保険と併用して活用されたら良いと思います。

定期保険は、掛け捨てですが、その機能を活用できるか否かで、大きな違いが出うる保険でもあります(別の機会に書きます)。

開業医におすすめの生命保険 その③ 収入保障保険

開業時の借入金や住宅ローンは毎月の返済とともに残債は減少します。

生活費や教育費も一年経過するごとに、人生も就学期間もその分短くなるので、残りの期間の必要資金の総額は減少します。

ですので、今後の子供の進路等にもよりますが、通常は「今」が一番大きな保険の必要があり、10年後、20年後は必要保障額は減少するものです。

「今」必要な大きな保障を安い掛け金で準備できるのが「収入保障保険」です。

開業医と収入保障保険
毎月の保険料は一定

収入保障保険の特徴

加入時が最大の保険金額で、徐々に保障額は減少する

掛け金(保険料)は一定のため、最初は非常に割安で、後半は割高になる

遺族年金として、給料のように遺族が毎月分割で受け取ることができる

定期保険同様、非喫煙料率があり、さらに安く加入できる

等です。

定期保険と収入保障保険の使い分けは、ケースバイケースになります。

収入保障保険は最初は割安ですが、保険期間満了近くになると割高になってきますので、途中での見直しが必要になるケースもあります。

掛け捨て保険は、いつ見直ししても「せっかくここまで続けたのに、もったいない」という事がありません。

後述しますが、定期保険や収入保障保険の加入者は、その後がん等の大病を患ってしまってからも、健康状態にかかわらず、一生涯保障の終身保険等に新規で加入できる制度があります(保険会社の規定にもよります)。

無駄な生命保険も多いですが、その機能を知り、活用する事ができれば、先生や万一の際のご遺族の人生を左右する位、差が出るのも生命保険です。

生命保険イメージ

開業医に入院保険(医療保険)は無駄!

入院保険とは先生が入院されたら、入院一日に付き、日額1万円とか日額2万円が給付される保険です。

病気になってしまった時に、何の保障もないのは心配だとお考えの開業医の先生も多いと思いますが、トータルで損得を考える必要があります。

入院保険(医療保険)を契約すべきか否かは次のポイントをお考え下さい。

入院保険の掛金(保険料)総額と入院給付金の比較

入院保険とは、基本的に入院している間、一日当たり1万円、2万円と給付金がもらえる保険です。 その基本保障に、手術給付金、がん診断給付金などの特約を付加するごとに特約保険料は加算されます。

仮にある生命保険会社で45歳男性が入院給付金日額2万円の保険(特約は含めない)に加入した場合、月払い保険料(終身払い)は約1万円です。

この保険を30年間払い続けた場合、支払い保険料の総額は約360万円になります。 入院一日当たり2万円貰えても、「30年間で180日!」入院しないと割りに合わなくなります。

高額療養費制度による医療費の実質負担額

日本の健康保険制度は、なんだかんだ言われても、やはり優れた制度だと思います。

医師国保、国保、協会けんぽ問わず、自己負担が1月あたり限度額を超えた分は、高額療養費が払い戻しされる制度がありますね。

高額所得者の開業医の場合は、高い公的保険料を負担しているにも関わらず、自己負担額の限度額は一番高いランクに入れられてしまいますが、それでも自己負担額の上限は次の式で収まる金額です。

高額所得者の医療費自己負担額上限 252,600円+(総医療費-842,000円)×1%

仮に胃がんで医療費総額150万円(30%自己負担45万円)の場合、高額療養費適用後の自己負担は、約26万円です。

もちろん差額ベット、食事代等、公的医療保険の対象外の負担もありますが、要は先生がどこまで自己負担でいいと考えるか、が重要です。

受け取った給付金は医療費控除から差し引く必要がある

その年の1月1日から12月31日までの間に自己や家族のために支払った医療費が10万円を超えた場合、超えた金額がその年の所得から控除できる制度です(上限200万円)。

ただし、支払った医療費から、高額療養費や、生命保険の給付金等を差し引かなくてはいけません。

■仮に、所得税、住民税合わせて50%の開業医の先生が医療費を一つの病気で実際の負担額100万円を支払った場合 ・生命保険会社から50万円の医療給付金を受け取った → 医療費控除による税額軽減は25万円 ・生命保険(入院保険等)に未加入 → 医療費控除による税額軽減は50万円

このように、所得税率が高い開業医の先生は、せっかく貰った生命保険の給付金も、その効力が減殺してしまう事があります。

同じ医療系の生命保険でも、がん、急性心筋梗塞、脳卒中で所定の状態になったら、非課税で1000万、2000万といった、まとまった給付金が受け取れる三大疾病系の保険は考えていいと思います(保険料との兼ね合いは考慮する必要あり)

(注)医療費控除から受け取った生命保険の給付金が差し引かれるのは、給付の直接の原因となった病気、けがの医療費が対象であり、関係のない医療費や、家族の医療費は控除に影響はありません)